中小企業診断士のビジネスユニット KSF

第7話 まちづくりと診断士の役割

1.はじめに
私は中小企業診断士として、後述する、まちづくり施策である「まちゼミ」や「まちバル」の実行委員会の支援に携ってきました。しかし、参画当初、実行の主体が地域のまちの人ではなく、あくまで”支援者”の立場である診断士が担っていることに疑問を感じました。ここでは、“まちづくり”における診断士の役割について考察し、まちづくりに関係する皆様に診断士を有効に活用して頂ければと思います。

2.まちづくりの施策
「まちづくり」には、行政面やインフラ面などトップダウンの活動もありますが、本稿では、地域住民が主体となって自治体や NPO(Nonprofit Organization: 非営利団体)と協力しながら地域を住みよい魅力あるものにしていくボトムアップの活動を扱います。具体的な施策としては「まちゼミ」や「まちバル」があります。
「まちゼミ」は、商店主やスタッフが自分の専門知識や技能を活かして行なう少人数制の無料講座です。例えばお茶屋であれば美味しいお茶の淹れ方などを教えます。このゼミでは、販売行為はせず、店の魅力を伝えるコミュニケーションを重視しています。そうすることで、参加者にお店のファンになってもらい、その結果、大型店やインターネット販売にも負けない商店、そして、お客様から必要とされる商店になることを目指します。個店が活性化することで地域に人が集まり「売り手よし、買い手よし、世間よし」とする近江商人の「三方よし」の精神に基づいているのです。

「まちバル」は、”まち”と”バル”(スペイン語の居酒屋を意味する bar)の造語で飲食店とまちの活性化を目指した、食べ・飲み歩きのイベントです。おつまみとドリンクがセットになった特別メニューが用意され、参加者にとっては、気になっていたお店に気軽に行ける良い機会であり、お店にとっては、新規顧客獲得のチャンスとなります。スペインのバル街のようにお店をはしごしながら人々が集い、それが生活に根ざした交流の場となる事を通じて、まちの活性化を狙っています。

3.まちづくりにおける課題と診断士の役割
 (1) 現状の課題
まちづくりにおいて、地域に対する熱い思いを持った人でも、何から行動すればいいかわからず受け身になってしまうことがよくあります。
「自分達は自分のまちをどのようにしたいのか?」「行政はどうなる事を望んでいるのだろうか?」このように、最初はどう考え何からどう行動して良いかわからない地域の人々を巻き込み、他の地域との関連性・整合性も考慮したビジョンを策定し、関係者間で共有する事が重要です。いかにそのような「場」を作り、関係者全員の意識の共有を図っていくかが大きな課題です。

 (2) まちづくりの成功事例 〜札幌まちばる〜
市民グループ「まちばる」は、平成16年に発足しました。市民の集いの場を札幌に設け、そこでの生活を楽しむ「ひと中心」のまちづくりを目指しています。食べて歩いて美味しい札幌を楽しむ まちバル“さっぽろタパス”や、公共交通機関を生かしたまちづくりを語り合う催しを開催してきました。上田市長は「こういう場をつくる事が札幌の文化を育む」と活動を激励してくれました。(北海道新聞 H18.03.14 朝刊)
その後、平成 19 年 12 月には「市民まちづくり活動促進条例」が公布され、平成 20 年には「さぽーとほっと基金」(札幌市市民まちづくり活動促進基金)の設置など、官民一体となったまちづくりの施策が次々に展開されています。(札幌市ホームページ)

 (3) 診断士に求められる役割
  (3)-1 ビジョンの策定と共有
診断士などの専門家には、ワークショップやワールドカフェなどのファシリテータとして意見や課題を整理することや、まとめた内容について参加者以外の関係者から意見を求める仕組みや場づくりが求められています。ここで注意したいことは、上から目線の助言や単なるアイデアベースの提案をしないことです。当事者の意見を偏りなく引き出して、まとめることが期待されています。

  (3)-2 地域を率いる人材の発掘と中長期的な伴走支援(PDCA)
私はまちゼミやまちバルの実行支援プロジェクトの参画当初、どういうフェーズなのかを把握できておらず、支援者であるはずの診断士が実施の主体である事に疑問を感じました。最初はワークショップやイベントを診断士が率いる事も重要な役割です。しかし、ここで大事なのは、やり方を示し、売上向上などの成功体験を得て頂く事です。診断士は単なるイベント代行業者ではありません。
さらに、一過性のイベントではなく、効果的な事業として地域に根付かせるためには、診断士などの支援者が一時的に支援するだけではなく、今後地域を率いていく逸材を発掘し、その人を中心に継続的に実施できるよう中長期的に伴奏支援します。
そのためには、ワークショップなどの場において、参加者の言動に注意を払い、対話を通してひととなりを見ながらリーダを発見していきます。また診断士が複数人でプロジェクトとして活動する場合、中長期的な支援計画を策定し、まちのリーダと意見交換しながら、フェーズに応じた支援ができるように診断士メンバ間で共有します。

4.おわりに
私がまちゼミを支援した奥浅草地域には、山谷と呼ばれる日雇い労働者のまちがあり、「山谷は労働者のまち、再開発反対」という垂れ幕も掲げられています。そんなまちにある「いろは会商店街」はアーケードの老朽化に伴い、改修ではなく撤去を決めました。商店街のアーケードで雨露を凌いでいた日雇い労働者共々、アーケードと共に一掃ということです。最近では安宿を目指して海外からのバックパッカーも多く集うまちになり賑わいを見せています。
商店主とそこに住む日雇い労働者、バックパッカーの外国人、まちは誰のものかを考えさせられられます。
まちづくりの主役である「まちの人」は、どういう人なのか、まちに何を求めているのか、また、まちづくりのどのような段階なのか、画一的ではなく「ひと」や「時期」に応じたフェイストゥフェイスの支援が求められていると考えます。

KSFではこのような支援を実施していきます。あなたのまちづくりにKSFの中小企業診断士をお役立て下さい。

中小企業診断士
金岩 由美子

ハイブリッド・コンサルタントをご活用下さい。

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