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第18話 コロナ禍における資金繰り状況を改善する方法『家賃支援給付金』

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以前から話題になっていた『家賃支援給付金』の申請受付が7月14日より開始しされました。給付対象となる企業は、ぜひ申請して頂き資金繰りの一助にしていただければと思います。

以下、『家賃支援給付金』についてご説明していきます。

Ⅰ.コロナ禍における全国中小企業状況

日本だけでなく、世界中でコロナウィルスが猛威を振るい人間の生命だけでなく経済を脅かしています。

このような状況下において、日本政策金融公庫は『全国中小企業動向調査(2020年4月‐6月期実績、7‐9月期以降見通し)』を実施しています。その内容を少し見ていきます。

本文中にある『DI』は、DiffusionIndex(ディフュージョン・インデックス)の略です。企業の業況感や売り上げ、資金繰りなどの各種判断を指数化したものです。簡単に表現すると企業が、『悪い』と判断した数値から『良い』と判断した数値を引いたものとなります。

小企業(従業員20人未満)および中小企業(従業員20人以上)において、借入DIを除く主要DIのマイナスが拡大しています。

その中で、売り上げDIにおける小企業は▲75.1です。前回調査から30.3悪化しています。資金繰りDIは、▲54.3です。前回調査から19.6悪化しています。売り上げ減少が拡大すればするほど資金繰りに影響を与えます(図表1-1全国中小企業動向調査結果)。

緊急事態宣言が解除されたとはいえ、経済状況は回復しておらず、特に売り上げについては先行きの見通しが立たないと考えている事業者が大半であります。

図表1-1全国中小企業動向調査結果

Ⅱ.すぐやるべき資金繰り対策

売り上げが減少し続けると、どのようなことがおきるでしょうか。

まず考えられるのは、損益分岐点を割り、手元の資金が減少してしまうことです。このような中で、まず取り組まなければならないことが2つあります。

①支出を抑える

月次損益計算書などにおける費用項目を確認してください。1つ1つ確認した際にすぐに減らすことが出来る項目があるはずです。例えば、飲食業における3大コストは、『原価』、『人件費』、『家賃』です。この3つの要素で利益が決まってしまいます。その中で特に、人件費は、パート・アルバイトがいればシフトを調整して余分な人件費がかからないようにすることができます。家賃は、家主に交渉することで賃料の減免など可能性があります。

日本ショッピングセンター協会は7月20日、ディベロッパー会員向けの「休業にともなうテナント賃料の減免」についてのアンケート調査結果を発表しました。

ディベロッパー会員314社のうち回収できた73社(回答者SC数1168)の回答を集計・分析したものです。そのアンケートによると、『テナント賃料の減免状況について、「全館または一部で減免を実施」したのは67社(割合96%)、「減免を検討している(交渉中を含む)」1社、「減免は実施しない」1社、「その他」1社だった』。以上のデータからは、交渉の効果がみられます。

コロナ禍は、当分続くことが予想されます。上記以外の費用項目においても支出を抑える必要があります。

②収入(入金)を増やす

売り上げが減少している中においても、収入(入金)を増やす手段があります。各種の支援金、例えば、経済産業省において新型コロナウィルス感染症関連の支援策などです。

持続化給付金は、テレビなどで報じられご存じの方もいらっしゃると思います。そして冒頭でご紹介した『家賃支援給付金』があります。7月14日より申請受付を開始しました。支出を抑える項目でも述べましたが、家賃は費用の中でも大きな額を占めているのではないでしょうか。

Ⅲ.家賃支援給付金

経済産業省ホームページ(https://www.meti.go.jp/covid-19/)にアクセスして、家賃支援給付金の『制度概要、申請要領等について』をクリックすると詳しい内容がわかります。

以下の内容は、2020年7月27日現在の情報です。情報が更新される場合がありますので必ず経済産業省ホームページでご確認ください。内容に変更があれば更新されます。

家賃支援給付金とは、5月の緊急事態宣言の延長等により、売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金のことです。

申請の期限は、2020年7月14日から2021年1月15日までです。電子申請の締め切りは、2021年1月15日の24時までです。

支給対象は以下の①②③すべてを満たす事業者です。

①資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者です。医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象となります。

②5月~12月の売上高について、『1か月で前年同月比▲50%以上』または、『連続する3カ月の合計で前年同期比▲30%以上』です。

③自らの事業のために占有する土地・建物に関する賃料の支払いをおこなっていることです。

給付額は、法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円を一括支給です。算定方法としては、申請時の直近1カ月における支払賃料(月額)に基づき算定した給付額(月額)の6倍です。以下の表を参照してください。

○法人-月額支払賃料75万円以下 月額給付額:支払賃料×2/3
○法人-月額支払賃料75万円超月額給付額:50万円+【支払賃料の75万円の超過分×1/3】
※ただし、100万円(月額)が上限
○個人事業者-月額支払賃料37.5万円以下月額給付額:支払賃料×2/3
○個人事業者-月額支払賃料37.5万円超月額給付額:25万円+【支払賃料の37.5万円の超過分×1/3】
※ただし、50万円(月額)が上限

すぐやるべき資金繰り対策の中で、賃料減免等の記載をしましたが、給付額算定条件との兼ね合いもありますのでご確認ください。

給付対象となる企業におかれましては、ぜひ申請して頂きプラスの資金になればと考えます。私達中小企業診断士も応援しております。ご相談事があれば、ぜひ企業内診断士フォーラム(KSF)までお願い致します。

中小企業診断士 城北支部 丸山 直也


出典

・日本銀行公表資料・広報活動
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/statistics/h13.htm/

・日本政策金融公庫中小企業データリンク集景況に関する調査結果
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/smseach2020_07.pdf

・経済産業省家賃支援給付金に関するお知らせ
https://www.meti.go.jp/covid-19/yachin-kyufu/index.html

・流通ニュース 『日本ショッピングセンター協会は7月20日、ディベロッパー会員向けの「休業にともなうテナント賃料の減免」についてのアンケート調査結果』

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