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第14話 SWOT分析をやってみませんか?

「御社の戦略、方向性についてお聞かせください」- そう言われてドキッとしたことはないでしょうか? 金融機関の融資担当者、株主、求職者、等々、企業の戦略、方向性が気になる方は多いものです。本コラムでは、戦略、方向性検討の際に役立つ「SWOT分析」をご紹介します。コロナ禍で経済の先行きに不透明感が増している中、点検の意味も込めて行ってみてはいかがでしょうか。

1.SWOT分析とは?

SWOT分析とは、何が自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)で、周りにはどういった機会(Opportunity)、脅威(Threat)が存在するのかを分析することで、戦略の方向性を導き出す手法です。「SWOT」はそれぞれの英語の頭文字を繋げたもので、「スウォット」と発音します。経営資源(人、モノ、金、etc.)には限りがありますので、内部環境(強み、弱み)、外部環境(機会、脅威)を分析し、考えられる戦略、方向性をいくつか抽出し、そのうちどの戦略、方向性に経営資源を配分するのが効果的かを検討するためのツールです。

2.SWOT分析のやり方

続いて、SWOT分析のやり方を説明します。

①まず、以下のように4つのボックスを書き、上の二段には自社の内部環境(強み、弱み)、下の二段には自社を取り巻く外部環境(機会、脅威)、を思いつく限り書き出します。製品、製造、技術、営業、財務、人事等の切り口で考えると書き出しやすいでしょう。頭の中だけで考えるのではなく、実際に書き出すことにより思わぬ発見があるかもしれません。

S(強み)
・製品の品質が高い(製品)
・加工技術が高い熟練職人がいる(製造)
・〇〇の特許を保有している(技術)
・品質要求が厳しい業界への実績(営業)
・財務体質が健全(財務)
・社員の定着率が高い(人事)
・社員による自主的活動がある(その他)
W(弱み)
・納期が遅い(製造)
・作業が属人化している(製造)
・設備が老朽化している(製造)
・顧客目線での設計が不十分(技術)
・販売力が弱い(営業)
・人材教育が不十分(人事)
・若手への技能承継ができていない(人事)
O(機会)
・設備導入に関する助成金・補助金(製造)
・環境規制、省エネの動き(技術)
・新製品・技術に興味を示す顧客(技術)
・大手顧客の設備投資増加(営業)
・新興国経済の成長(その他)
T(脅威)
・原材料価格の高騰(製造)
・自然災害・疫病によるサプライチェーンへの影響(製造)
・異業種メーカーの進出(営業)
・製造業全体における人材不足(人事)
・為替変動リスク(その他)

(イメージ図:筆者作成)

②次に、内部環境(強み、弱み)と外部環境(機会、脅威)の組み合わせから、以下の四パターンの戦略の方向性を導き出します。この過程をクロスSWOT分析と呼ぶこともあります。

  • 「強み×機会(積極戦略)」・・・・・強みを活かして機会を捕える。
  • 「強み×脅威(差別化戦略)」・・・・脅威に対し自社の強みで他社との差別化を図る。
  • 「弱み×機会(改善戦略)」・・・・・機会を逃さぬよう弱みを改善する。
  • 「弱み×脅威(防衛・回避戦略)」・・脅威に対し自社の弱みがさらされないよう防衛・回避する。

上図の例で考えてみましょう。「強み×機会(積極戦略)」については、「〇〇の特許を保有しているという強みを活かして、環境規制、省エネの動きという機会を捕える」という戦略、また、「弱み×機会(改善戦略)」については、「大手顧客の設備投資増加という機会を逃さぬよう、納期が遅い・設備が老朽化しているという弱みを改善する」という戦略が候補として考えられます。
このように、列挙した項目の組み合わせにより色々考えられますので、できるだけ多く書き出してから、緊急度、重要度、コスト等を考慮し、絞り込み、優先順位付けを行いましょう。

いかがでしたか? SWOT分析を定期的に行うことで、状況に応じた戦略・方向性のブラッシュアップが可能となります。また、社員を交えて行えば、自社の戦略・方向性の共有、それによる社員の会社への帰属意識・経営への参画意識の向上を図ることも可能ですので、社員研修、コミュニケーションツールとして取り入れてみるのも良いかもしれません。SWOT分析について詳しく知りたければKSFまでご相談ください。

中小企業診断士 岩出 一也

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