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第15話 テレワーク時のコミュニケーションの工夫について

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■新型コロナウィルスの感染拡大防止のためにテレワークが注目される

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、テレワークが推奨されました。しかし実施にあたっては様々な課題が発生しましたし、そもそもテレワークができない企業もありました。もちろん接客や工場の現場で働いている方がテレワークを実施するのは難しいですが、いわゆるオフィスワーカーでも上手くいっていない企業が多いようです。一方で上手にテレワーク化を進めることで、通常と変わらない、もしくはこれまでよりも生産性を向上させたり、ライフワークバランスを充実させることができたりするなどのメリットを得られた企業もあります。

現在コロナウィルス対策でテレワークが注目され、社会全体にそのメリットが知られるようになりました。そのため出社制限が解除になっても、BCPや生産性向上、採用等の観点上、テレワーク制度は企業経営を考える上で避けて通れなくなるでしょう。

■テレワークには様々な課題がある

一方でこれまで通りの働き方のままテレワークを行うと情報漏洩、コミュニケーション不足、マネジメントの欠如など様々課題が出てきます。今回はその中でもコミュニケーション上の課題に対して、筆者の実体験を元にノウハウをいくつかお伝えしたいと思います。

■コミュニケーション上の課題と対応

①何気ないコミュニケーションがとりにくい

テレワークをしているとコミュニケーションをとるための敷居が上がり、細かいことで不明点があってもいちいち質問せずにそのまま業務を進めてしまう事があります。それにより両者の認識相違がどんどん深まり、手戻り業務が発生することで、効率が落ちる可能性があります。また雑談だともっとハードルが上がります。雑談は過ぎると業務の邪魔になりますが、仕事上の新しいアイデアの元になったり、メンバーの体調の異変に気づくきっかけになったりと有用な場合も多いものです。

こういう時に便利なのがチャット、それもビジネスチャットです。チャットだと相手を拘束しない非同期型で、また短文でやり取りできるため気軽に手間をかけずにコミュニケーションをとることができます。さらにToをつけない書き込みは読み捨てられても問題ないことが前提のコミュニケーションなので何気ないつぶやきを抵抗がなく行えるメリットがあります。そのため上記の課題に対して非常に有効なコミュニケーション方法になります。

電話やメールといった既存のコミュニケーションツールとの棲み分けが難しくなるのではと思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし電話は相手の反応を見ながら素早くコミュニケーションをとりたい時、メールは後からやりとりを追う必要があるようなコミュニケーションをとりたい時、チャットはその間のコミュニケーションや特に返信を明確に求めていないつぶやき、話題の提供をしたい時、というようにある程度、利用シーンが分かれてきます。基本的な考え方は上記の通りですが、まずは試行錯誤しながら使っていくと、意外に早くしっくりくるようになると思います。最近のビジネスチャットは返信機能、検索機能、ハッシュタグ機能、ファイル添付機能などが充実しているので、2,30人程度の組織であれば組織内コミュニケーションはかなりチャット上で効率よく行えるようになるでしょう。

②Web会議がぎこちない

Web会議は対面の会議のやり方そのままで進めようとすると色々ぎこちなくなります。ただある程度は工夫でカバーすることが可能です。

例えばよくあるのが相手の反応がわかりにくいから伝わっているのか不安になるということです。これは全員ビデオをONにして顔が映るようにすれば違和感がなくなります。またもう一つコツとして全員が自分の端末で会議に入りカメラで顔を映すようにしましょう。一部がテレワークで一部がオフィスの会議室に集まって会議をすることがありますが、その際会議室のメンバーが一台のカメラでWeb会議に入ると一人ひとりの顔が見づらくなります。また、会議室にいるメンバー間の会話がテレワークのメンバーに伝わらず、テレワーク組に疎外感を与えてしまう場合があります。そのためWeb会議を行う際はたとえ何人か同じオフィスにいても離れたところに座って個々でWeb会議に入る方がスムーズです。

次に発言がかぶりやすく話しにくさを感じることがあります。この場合話し手は話し終わったら「以上です」と言うことで自分が話し終わったことを明示しましょう。次に話したい人は挙手(実際に挙手するのでもWeb会議の機能で挙手するのでもどちらでもよいと思います)して、ファシリテーターが次に話をする人を指名するような運用にするとスムーズです。

またWeb会議だと会議の最後に「誰か質問ある人いますか?」とファシリテーターが聞いた際にシーンとすることがよくあると思いますが、こちらも何か意見を持っていそうな人に対してファシリテーターが「○○さん、質問ありますか?」と名指しで聞くような一工夫を加えるとスムーズになります。

③チームの一体感がなくなる

差し迫った必要性がないコミュニケーションが行いにくいテレワークでは孤独を感じやすくなり、それに伴いチームとしての一体感がなくなりがちです。特に各々が1人で行う作業が多いチームではその傾向が顕著に出ます。チャットで常時細かくコミュニケーションを取り合っていたとしても、積極的に活用する人とそうでない人が別れ、一部の人だけで盛り上がってしまうこともあります。

そこで活用したいのが朝会です。朝会とは毎朝チームメンバー全員が集まり1人ずつ今日やることと抱えている課題の共有を行う15分程度の会議です。元々チーム内のタスクの進捗状況や課題を効率よく把握し、その日の仕事をスムーズに始めるためのコミュニケーション方法として取り入れられることが多いですが、1日に1度は全員が全員の顔を見て話す時間をとることでチームの一体感を養うことにも役立つと私は感じました。特に各々が1人で行う作業が多いチームにとって、1日1度はお互いの顔を見て話す機会があるというのはチームの活性化という点で非常に有効です。またテレワーク時であれば全員が予め伝えたい内容をチャットに書いてからWeb会議で朝会を行うことでスムーズに会を進められ、また後で振り返るときもチャットを検索すればすぐに見つけることができます。

■非対面コミュニケーションの際の工夫は対面時も有効

いかがでしたでしょうか。最近はコミュニケーションツールが豊富にあるので上手に活用することで非対面でも対面コミュニケーションと変わらない情報のやりとりが可能です。

またこのテレワーク時におけるコミュニケーション上の工夫というのは通常のオフィス勤務時においても、良質なコミュニケーションを増やし、組織としての力を高めるのに役立ちます。是非有効活用してみてください。

テレワークコミュニケーションについて詳しく知りたければKSFまでご相談ください。

中小企業診断士 上林 航

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